あしべ文芸  No.296  令和8年3月発行

  短歌作品集

    如月の冷えし窓辺にアサツキの光は木々とゆらめきており

                         深見弘美

    若き歌手が踊りてさわぐ歌ばかり昭和の時代が恋し冬の夜

                         末永孝子

    雨の日も気分まかせに雨にぬれ猫は岸をも歩き続ける

                        下条八知子

    妹の「ピアノを習う」の決断に七十五歳へエールを送る

                        久保田律子

    首・肩に一日置きに貼りくれる夫のおかげのシップ効果

                        西 まゆみ

    山茶花の花びら散りて残り香の小道たどれば釈迢空の歌碑

                        加藤えつ子

  俳句作品集

    花柄の伝う雨傘水温む         興津 美智子

    猫車揺れてほろほろ春の土       ゆづき

    水温む田畑の農の動く影        吉永 清子

    水温むごろんごろんの猫の腹      加藤 武

    春一番エイトビートの目覚めかな    森 万里

    うぐいすを真似て朝餉の長くなり    加藤 えつ子

    春陰の護国詣でや昭和影        茶白

    水温む妻の指先艶めけり        西村心耕

  川柳句会作品集

    「梅」          山本和子 選

    梅干しが何よりおかず三杯目      瀬川伸幸

    人 寒に耐え梅一輪のあたたかさ    竹尾久恵

    地 早春に梅鶯が春告げる       濱野幸生

    天 廃屋の梅は満開誰も見ず      瀬川美枝子

   軸吟 春待つ梅蕾膨らむ散歩道      山本和子